
この記事では長期金利の推移や経済指標、チャートなどを基に米国経済と株式の状況を振り返り、そして今後の展望について記載していきたいと思います。
目次
指標結果の早見表
日付 | 指標・イベント | 前回 | 予想 | 結果 | |
2021/06/15 | 小売売上高(前月比) | 0.9% | -0.8% | -1.3% | 📉 |
2021/06/15 | 小売売上高(自動車除くコア)(前月比) | -0.8% | 0.4% | -0.7% | 📉 |
2021/06/17 | FRB政策金利(FOMC) | 0.0~0.25% | 0.0~0.25% | 0.0~0.25% | – |
2021/06/22 | 中古住宅販売件数 | 585.0万件 | 572.0万件 | 580.0万件 | 📈 |
2021/06/23 | 製造業PMI | 62.1 | 61.5 | 62.6 | 📈 |
2021/06/23 | サービス業PMI | 70.4 | 70.0 | 64.8 | 📉 |
2021/06/23 | 新築住宅販売件数 | 86.3万件 | 86.5万件 | 76.9万件 | 📉 |
2021/06/24 | 実質GDP | 6.4% | 6.4% | 6.4% | – |
2021/06/25 | PCEデフレータ(前年比) | 3.6% | 3.9% | 3.9% | – |
2021/06/25 | PCEコアデフレータ(前年比) | 3.1% | 3.4% | 3.4% | – |
長期金利(米国10年債利回り)の推移

米国10年債利回りは依然として1.6~17%のレンジの中で推移していましたが、6月17日に行われたFOMCの前後で1.4%まで下落して現在は1.5%前後で推移しています。
1-3月にかけて一気に上昇した長期金利も4月に入ってからは落ち着いていることが伺えます。

長期金利の推移も長期的な視点だと歴史的な低水準の中にある状態です。
ここから1981年9月(高値:15.84%)から始まった長期に渡るダウントレンドを脱して上昇に転じていくのかに注目
が集まっています。
小売売上高(前月比)の結果📉
6月15日に発表された小売売上高は、予想 -0.8%に対して結果 -1.3% となり予想を下回る数値になりました。
ちなみに前回は、0.9%でした。
小売売上高(自動車除くコア)(前月比)の結果📉
6月15日に発表された小売売上高(自動車除くコア)は、予想 0.4%に対して結果 -0.7% となり予想を下回る数値になりました。
ちなみに前回は、-0.8%でした。
FRB政策金利(FOMC)
6月17日のFOMCは、FFレートは予想 0.0~0.25%に対して結果 0.0~0.25% となり予想に一致しました。
特筆すべきは利上げの時期予想が2024年から2023年に前倒しになりました。
またFRBのスタンスもこれまでとは違い、テーパリング(債券買い入れプログラムの縮小)への姿勢も徐々に積極性を増しています。
テーパリング開始時期の議論の開始時期として8月のジャクソンホール会議に注目が集まってます。
これはFRBの優先順位が労働市場(失業率への改善)からインフレ率のコントロールへと変わった可能性が高いことを示唆しています。
中古住宅販売件数の結果📈
6月22日に発表された中古住宅販売件数は、予想 572万件に対して結果 580万件 となり予想を上回る数値になりました。
ちなみに前回は585万件でした。
製造業PMIの結果📈
6月23日に発表された製造業PMIは、予想 61.5 に対して結果 62.6 となり予想を上回る数値になりました。
ちなみに前回は62.1でした。
サービス業PMIの結果📉
6月23日に発表されたサービス業PMIは、予想 70.0 に対して結果 64.8 となり予想を下回る数値になりました。
ちなみに前回は 70.4 でした。
新築住宅販売件数の結果📉
6月23日に発表された新築住宅販売件数は、予想 86.5 万件に対して結果 76.9 万件 となり予想を下回る数値になりました。
ちなみに前回は 86.3 万人でした。
実質GDP(前期比年率)の結果(一致)
6月24日に発表された実質GDP(前期比年率)は、予想 6.4%に対して結果 6.4% となり予想に一致した数値になりました。
ちなみに前回は6.4%でした。
PCEデフレータ(前年比)の結果(一致)
6月25日に発表されたPCE(個人支出価格指数)デフレータは、予想 3.9%に対して結果 3.9% となり予想に一致した数値になりました。
ちなみに前回は 3.6%でした。
PCEコアデフレータ(前年比)の結果(一致)
※ PCEコアデフレーターとは、PCEデフレーターから、価格変動が激しい食品とエネルギーを除いたもの。
6月25日に発表されたPCEデコアフレーターは、予想 3.4%に対して結果 3.4%となり予想に一致した数値になりました。
ちなみに前回は 3.1%でした。
主要3指数(SP500、ナスダック100、ダウ平均)の推移

SP500の年間チャートになります。
50日移動平均線に支えられ、史上最高値を更新しました。
さらなる上値が狙える状況です。

上記はナスダック100の年間チャートになります。
ついに史上最高値を更新し、新波動入りしました。
前回の抵抗線だった14100あたりが今度はサポートになり、さらなる高値更新が狙えそうなチャートとなっています。

上記はダウ平均(DJI)の年間チャートになります。
一時的に50日移動平均線を割れましたが、その後は反発し50日移動平均線の上に戻してきました。
底堅い状況であり、新高値更新も期待できる状況です。
SP500、ダウ平均の推移は50日移動平均線を割り込むことなく底堅く推移しており、ナスダック100も50日移動平均線を上抜けてきました。
今後の展望
インフレ指標と言われているPCEデフレーターとPCEコア・デフレーターはともに予想に一致する結果となりました。
PCEコア・デフレーターは前回の数値である3.1%から3.4%となり高い数値を維持しています。
FOMCでは利上げ予想は前回の2024年から2023年に前倒しなりました。
またFRBはもし必要とあらば金融引き締めを行うという姿勢を市場に認識させようとしています。
これは雇用よりもインフレ率のコントロールに重きを置いたスタンスになってきていることが伺えます。
上記により長期金は下落、市場からインフレ懸念が一時的に後退しました。
しかしインフレへの疑念が完全に払しょくされたわけではなく、経済成長は鈍化すれど着実に拡大していくことでコンセンサスは一致しています。
なので今後も長期金利は徐々にマイルドに上昇していくことが予想されます。
いまFRBは金融緩和で市場をサポートしつつも、少しづつ金融引き締めを匂わせて市場の過熱による過度なインフレの芽の広がりを抑えるという対応している状況です。
なかなか難しい対応に挑戦しているFRBですが、投資家も実体経済と経済指標の推移を注意深く観察する必要があります。
ちなみに長期的にみると相場サイクルはまだ金融相場の中にあります。
一時的な下落はあれど、まだ強気継続と判断しています。
米国株式の主要3指数も長期では底堅く推移しています。
上記の理由から資産(株式)のポートフォリオは分散・バランスを重視した形を継続します。