【米国株式】2021年6月(7/1~7/13)の振り返りと展望

この記事では長期金利の推移や経済指標、チャートなどを基に米国経済と株式の状況を月の前後半で振り返り、今後の展望について記載していきたいと思います。

指標結果の早見表

日付指標・イベント前回予想結果
2021/07/01製造業PMI62.662.662.1📉
ISM製造業景気指数61.260.960.6📉
2021/07/06ISM非製造業景気指数64.063.560.1📉
サービス業PMI64.864.864.6📉
2021/07/02非農業部門雇用者数(NFP)55.9万人72.0万人85.0万人📈
失業率5.8%5.6%5.9%📉
2021/07/13CPI(消費者物価指数)5.0%4.9%5.4%📈
コア・CPI(食品・エネルギー除く)3.8%4.0%4.5%📈
①新規失業保険申請件数(前週比)7/141.1万人38.8万人36.4万人📈
②新規失業保険申請件数(前週比)7/836.4万人35.0万人37.3万人📈

長期金利(米国10年債利回り)の推移📉

引用元:FRED ecnomic data 【米国10年債利回りの年間チャート】

7月2日までは1.4%で推移していましたが、アメリカ独立記念日の3連休明けにレンジを下抜けし、一時的に1.2%台まで下落しました。(現在は1.38%で推移しています。)

急速に上昇していた長期金利も勢いが無くなってきており、これ自体が将来のアメリカの景気減速を織り込み始めている可能性があります。

引用元:FRED ecnomic data 【米国10年債利回りの長期チャート】

直近のデータの中では高値圏で推移している長期金利も長期的な視点だとまだ歴史的な低水準の中にある状態です。

ここから1981年9月(高値:15.84%)から始まった40年近く長期に渡るダウントレンドを脱して上昇に転じていくのかに注目が集まっています。

雇用統計【NFP(non-farm payroll employment)の結果📉

2021年7月2日に発表された6月の非農業部門における新規雇用者数は85.0万人と予想の72.0万人を上回りました。

ちなみに前回は55.9万人でした。

2ヵ月連続で予想を下回っていましたが、今回は予想を超える数値となりました。

経済再開による人手不足が顕著になっていきている中で、各企業が採用キャンペーンを行ったり、6月で週300ドルの追加給付金を打ち切る州が出てきたことが新規雇用者数を押し上げた一つの要因と言えそうです。

加えて教育分野などにおける季節調整の影響なども考えられ、新規雇用者が増えた理由について単一の要因を割り出すのは難しい状況です。

また中身を確認してみるとレジャーとホスピタリティーの雇用が34万3000人増となっており、加えてフードサービスと飲酒関係が19万4000人増と雇用者数の伸びをけん引した形となりました。

ちなみにレジャーとホスピタリティーの雇用はパンデミック前と比べてまだ220万人減少している状態です。

失業率(unemployment rate)の結果📉

7月2日に発表された失業率は予想5.6%に対して、結果は5.9%となり予想を下回る数値となりました。(パンデミック前は3.5%)

項目別失業率の表

項目(年齢・人種・性別)失業率(%)
10代9.9
白人5.2
ヒスパニック7.4
黒人9.2
アジア5.8
成人男性5.9
成人女性5.5

全体の失業率が5.9%と前回よりも0.1%悪化しました。加えてヒスパニックと黒人においても依然として高い失業率が維持された状態です。

新規失業保険申請件数の結果

7/1に発表された新規失業保険申請件数は予想が38.8万人に対して実績は36.4万人となりました。

ちなみに前回の申請件数は41.1万人でした。

7/8に発表された新規失業保険申請件数は予想が37.0万人に対して実績は37.6万人となりました。

ちなみに前回の申請件数は38.5万人でした。

CPI(消費者物価指数)の結果📈

7月13日に6月のCPI(Consumer Price Index)が発表されました。

予想 4.9% に対して結果5.4 % となり予想を上回りました。

前回は 5.0% でした。

引用元:U.S.BUREAU OF LABOR STATISTICS

( )・・・前回数値

エネルギーセクターは過去12ヶ月間で24.5%の上昇となりました。(28.5%)

内訳の一部としてエネルギー商品が44.2%(54.5%)、Fuel oilが44.5%(50.8%)、ガソリンが45.1%(56.2%)の上昇となりました。

食品セクターは過去12ヶ月間で2.4%の上昇となりました。

内訳の一部として、果物・野菜が3.2%、Food away from homeが4.2%、フルサービスが4.1%、リミテッドサービスが6.2%の上昇となりました。

コア・CPI(食品・エネルギーを除く)の結果📈

コア・CPI(食品・エネルギーを除く)の数値は、

予想 4.0% に対して結果 4.5% となり予想を上回りました。

前回は 3.8% でした。

分野別のCPIを確認してみると中古車・中古トラックは45.2%(29.8%)、輸送サービスが10.4%(11.5%)、自動車保険が11.3%と大きく上昇しました。

中古車・中古トラックの値段が上がっている主な原因は車載向け半導体の不足が大きいと言われており、しばらく高止まりする可能性があります。

また航空運賃も24.6%と引き続き高い上昇率となっています。

ISM製造業景気指数の結果📉

7月1日に発表されたISM製造業景気指数は、予想 62.6 に対して結果 62.1 となり予想をやや下回る数値になりました。

ちなみに前回は62.6でした。

ISM非製造業景気指数の結果📉

7月6日に発表されたISM非製造業景気指数は、予想 63.5 に対して結果 60.1 となり予想を下回る数値になりました。

ちなみに前回は 64.2 でした。

製造業PMIの結果の結果📉

7月1日に発表された製造業PMIは、予想 62.6 に対して結果 62.1 となり予想を上回る数値になりました。

ちなみに前回は62.6 でした。

サービス業PMIの結果📉

7月6日に発表されたサービス業PMIは、予想 64.8 に対して結果 64.6 となり予想を上回る数値になりました。

ちなみに前回は 64.8 でした。

主要3指数(SP500、ナスダック100、ダウ平均)の推移

引用元:TradingView.com

SP500の年間チャートになります。

50日移動平均線に支えられ、底堅く推移していることが伺えます。

また史上最高値を更新し、さらなる上昇の可能性が高い状況です。

引用元:TradingView.com

上記はナスダック100の年間チャートになります。

史上最高値を更新し、一気に上値を伸ばしてきました。

しかし直近では上髭のローソク足が出現しているので一旦は下落するかもしれません。

それでも

引用元:TradingView.com

上記はダウ平均(DJI)の年間チャートになります。

一度は50日移動平均線を割り込みましたが、再度上昇に転じております。

2021年5月10日に記録した史上最高値である35091.56に近づいてきています。

更新に期待が掛かります。

今後の展望

前回に続きCPI・コアCPIで予想を上回る数値が出ましたが、市場は既に織り込んでいた感があり、今のところは長期金利の上昇も限定的です。

FRBは引き続きインフレ指数の上振れは一時的という姿勢を崩していません。

金利の落ち着きをみると市場もその姿勢に同意する形だと思われます。

また筆者も今のところその意見に同意しており、徐々にインフレ圧力はピークアウトしていく予想しています。

ISM製造業景気指数とISM非製造業景気指数は両方とも予想を下回りました。

ともに50以上が一つの目安となるので事前の期待値が高過ぎたという感じもしますが、一方で既に景気のピークを打った可能性もありますので油断できない状況です。

雇用統計の数値は予想を上回りました。

急速に回復していた失業率も鈍化の兆候を見せています。

雇用情勢は着実に改善してはいるものの、完全回復にはまだ時間が掛かるかもしれません。

また新型コロナは第2フェーズに突入。

いまアメリカのみならず世界では感染力が強いデルタ株の蔓延により、新規感染者数が再び増大しています。

加えてアメリカのワクチン接種率が鈍化していることから、経済のスローダウンに対する懸念が生まれてきています。

下記のグラフは米国のワクチン接種率の推移です。

提供元: Our World in Data

2021年4月あたりから明らかにペースが鈍化していることが分かります。

ちなみに2021年7月11日の米国において、

  • ワクチンを1回接種した人は56.1%
  • ワクチンを2回接種した人は48.5%

となっています。

目標としていた接種率70%の達成は難しい状況となってきています。

さらには新興国のワクチン普及の遅れ。

以上のことから集団免疫によって新型コロナを世界から一掃するのは難しい状況となってきています。

ゆえにアフター・コロナではなく、引き続きウィズ・コロナの時代が継続していく公算が高いと思われます。

また経済第二位に付けている中国の景気減速の兆しも見え始めてきています。

ちなみに相場サイクルは金融相場の中にあります。

一時的な下落はあれど、まだ強気継続と判断しています。

米国株式の主要3指数も長期では底堅く推移しています。

デルタ株の蔓延などによる景気減速の懸念から長期金利が下落おり、今後もグロース株が優位な展開が続くとみています。

特にSaaS系の巣籠・在宅銘柄などは妙味がありそうです。

具体的にはZMやCRWD、OKTA、DOCU、ZSなど。

上記の理由から資産(株式)のポートフォリオは工業や素材などの景気敏感株を外し、SaaS系の巣籠・在宅銘柄をホールドしつつも分散・バランスを重視した形を継続します。