コア・サテライト投資戦略とは

少子高齢化、上がらない賃金、どんどん支給開始年齢が後ろにズレていく年金問題など将来の資産形成において今の日本は問題が山積みとなっています。

それに伴い昨今では日本国民の株式投資に関する興味が増しており、本格的な投資戦略についても学ぶ機会が増えてきました。

筆者も2019年から米国株への投資を行っています。

当時から当たり前のように使われているコア・サテライト投資というワードですがまだよく分からないという人も多いと思います。

今では筆者もコア・サテライト投資戦略を取り入れて投資を行っていますが、米国株に投資を始めて一年目あたりまではコア・サテライト投資に関する詳しいことは知りませんでした。

しかし長く投資を行ってい上では重要な戦略であると実感し、自分の投資の中に取り入れています。

そこでこの記事ではコア・サテライト投資についての目的や実践方法、行う上でのメリットやデメリットについて投資経験を踏まえて説明していきますので参考にしていただければと思います。

コア・サテライト投資戦略の目的

コア・サテライト投資の目的はポートフォリオのバランスを整えることによりパフォーマンスの安定化を図ることにあります。

個別株だけのポートフォリオでは資産額の乱高下が激しくメンタル的に落ち着かない。

かと言ってインデックスファンドなどへの投資だけでは退屈で詰まらない。

個別株への投資もやってみたい。

そんな人に対して推奨される方法です。

ちなみに筆者もインデックスファンドなどへの投資を行うと同時に個別株のトレードもやっています。

自分で購入したい銘柄を選んで企業業績をフォローしていったり、会計の知識や長期金利の推移、マクロ経済の動きを勉強するなど沢山のことを学ぶ機会が増えます。

やることは増えますが知識のインプットにもなって面白いですからね。

また実際に自分の買った銘柄がぐんぐんと株価を上昇させていくのは心が躍るものです。

でもいくら楽しいからと言って個別株の投資に資産が偏り過ぎてしまうことはリスクの増大を意味します。

投資家として長く市場に居続けるためには過度なリスクを取らないように自らをコントロールする必要があります。

ゆえにコア・サテライト投資戦略が重宝されるのです。

ポイントはポートフォリオの配分を明確に『攻め』と『守り』に切り分けることにあります。

そして守りの部分を『コア』としながらも、一方でサテライトの部分で『攻め』の運用をすることによってリスクとリターンの面でよりバランスの取れたポートフォリオになることを目指します。

次にコア・サテライト投資戦略に適したポートフォリオを組み立てる上で重要なアルファ(α)とベータ(β)の概念につてい説明していきます。

アルファ(α)とベータ(β)について

投資にはアルファ(α)とベータ(β)という概念が存在ます。

アルファとは市場の平均をアウトパフォームするような個人の経験や技量に依存する投資スキルを意味します。

具体的には個別株トレードなどのスキルを指します。

少ない資産からでも短期間で大きな資産を築いたような人は基本的にはアルファの値がとても高い投資家です。

市場平均を大きくアウトパフォームすることにより想定よりもずっと早い期間で資産を積み上げていく事が可能になるのです。

しかし個別株トレードのようなアルファへの投資は短期間で大きな資産を築ける可能性がある一方で再現性が低い場合も多いです。

また個別トレードのパフォーマンスは運の要素も大きく影響します。

  • たまたま買った銘柄の株価が急上昇した。
  • ちょうどその時は相場の地合いがとても良かった。
  • 突発的な追い風が吹き一気にポートフォリオの資産が増えた。

上記のような環境下であれば特別なトレードスキルが無くても資産を大きく伸ばせてしまいます。

その一方で株式市場に逆風が吹いたり、投資環境に大きな変化が訪れたときにはパフォーマンスが一気に落ちてしまうことも珍しくありません。

ゆえにパフォーマンスを安定させることが難しく、市場平均を大きく上回ることもあれば、逆に大きく下回ってしまうこともあります。

一方でベータ(β)は市場の平均的なパフォーマンスを意味します。

具体的にはSP500(米国を代表する株価指数)などの指数に連動するようなパフォーマンスになることを指します。

以上のことからベータはインデックス投資と言い換えてもよく、ゆえに個人のスキルを全く必要としません。

大事なことは淡々とインデックス投資を継続することになるので運すらも必要としません。

同じ商品に投資し続けているので素人もプロも同じパフォーマンスになります。

個人のスキルに依存することなく米国株式市場の過去のパフォーマンスデータから安定した成績が期待できます。

例えば、iDecoや積立NISAなどでSP500に連動するインデックスファンドなどに長期積立投資するようなやり方は市場平均であるベータを確実に取りに行く手堅い投資手法と言えます。

ちなみに過去のデータから長期で均してみるとベータ(インデックスファンドなどへの投資)のパフォーマンスは年利で7~8%を期待することができます。

これを超えるパフォーマンスを安定して叩き出すのはたとえプロと言えども容易なことではありません。

投資の神様と言われているウォーレンバフェット氏も『個別株にやみくもに手を出すよりも米国を代表する株価指数であるSP500に連動する投資信託やETFを買うだけで十分な利益が得られる』と述べています。

多少の時間は掛かりますがベータのパフォーマンスを継続するだけでも資産を増やすことは十分に可能なのです。

それを断った上で個別株への投資にも挑戦したいという投資家におすすめの方法がコア・サテライト投資戦略になります。

コア・サテライト投資戦略のやり方

まずコアとなる部分では老後の資金確保など失敗できないお金に対する資産運用を行います。

守りが大切となるので必然的により分散が効いたマイルドな値動きのアセット(資産)に投資することが望ましくなります。

ここではしっかりとベータに基づいた投資を行っていきます。

具体的にはVTIやVOOなどのETFやSP500に連動したインデックスファンドが推奨されます。

逆にサテライトの方では『攻め』を意識します。

アルファに基づいた投資ですね。

具体的には個別株や仮想通貨などの値動きが激しくハイリスク・ハイリターンなアセットに投資します。

コアとサテライトの配分は50対50が基本となりますが、より保守的に運用したいと考えるのであればコアの比率を60~80%くらいまで引き上げ残りの20~40%で個別株などへの投資を行います。

より攻撃的にリスクを取りたいという人はサテライト側への資産配分を60~80%まで上げます。

どこまでリスクを取れるかは個人のリスク許容度(年齢・収入・株以外の資産額・生活費・メンタル面など)に依存するので万人に共通する正解はありません。

ちなみに筆者の場合は積立NISAとiDeco(イデコ)でVTIへの積立投資を行っています。

老後の資金などは既に上記の2つの制度で確保していることから、それ以外の資産におけるポートフォリオの配分はちょっと攻撃的になっています。

具体的にはコアを30~50%、サテライトを50~70%の間でコントロールしています。

次にコア・サテライト投資戦略のメリットとデメリットを説明していきます。

コア・サテライト戦略のメリット・デメリット

どんな投資戦略にもメリットとデメリットが存在します。

大切なのは良いところと悪いところを理解して日々取り組んでいくことだと筆者は考えています。

以下は筆者が考えるコア・サテライト戦略のメリットになります。

  • ポートフォリオの資産増減がマイルドになる。
  • ベータ値(市場平均値)から大きく乖離しなくなる。
  • 個別株投資へのリスク許容度が高まる。

コア・サテライト投資戦略では個別株のみのポートフォリオと比べて資産の増減は緩やかになります。

コアの資産はSP500などのインデックスに連動しているので必然的に資産の推移は指数の動きに近くなります。

これにより指数の値がしっかりと上昇しているのにも関わらず、自分の資産は全く増加していないというようなことが少なくなります。

またコアの部分でリスクの低い資産を組み入れているので、必然的にサテライト側でのハイリスク・ハイリターンな資産へのリスク許容度は高まります。

ちなみに個別株だと短期間で30%以上の値動きと言うのはザラに発生します。

しかしSP500であれば過去のデータから短期間で30%以上の値動きと言うのは10年に一回くらいの割合です。

個別株の値動きの荒さをコアのVTIやインデックス投資で和らげるイメージです。

次にデメリットになります。

  • リスクが小さくなる分だけリターンも小さくなる
  • GAFAM+Tなど少数の巨大テックのパフォーマンスに依存している部分もある

リスクを捨て安定を手に入れる。

それは大きなリターンを捨てるということにもなります。

実際にはインデックスに比べて個別株の方が利益を出しやすい年というのも存在ます。

その場合だと個別株のみのポートフォリオに比べればコアを加えたポートフォリオのリターンは少なくなってしまいます。

またSP500自体もGAFAM+Tなど少数の巨大テックのパフォーマンスに依存している部分もある

GAFAとはGoogle、Amazon、Facebook(Meta)、Apple、Microsoftの頭文字を取って作られた造語です。

TはTslaになります。

上記の企業はどれも時価総額が100兆円を超える巨大な企業です。

Appleに至っては既に300兆円を超えています。

SP500における構成比率はGAFA+MTの6社だけで25%近くになります。

SP500は米国を代表する500社の株を基に作られていますがその比率の少なからぬ部分を上記のような巨大テックが占めているのです。

ゆえに GAFAM+T の株価の推移にSP500のパフォーマンスが影響を受けるのは避けられません。

とは言え、SP500のパフォーマンスは長期で見れば右肩上がりで成長しておりコアに据えるのにベストな選択肢の一つです。

大切なのはコアに据えているSP500は長期で考えれば非常に大きなリターンを得ることが期待できるとうことです。

なので最低でも15~20年という期間を見据えてコアによる資産形成をすることをおすすめします。

次にコア・サテライト投資戦略を成功させる上でのポイントについて書いていきます。

コア・サテライト投資成功のポイント

コア・サテライト投資戦略のポイントはコアとサテライトの比率を極端に崩すことなく長期で継続することです。

単年だけのパフォーマンスを見れば個別株のみのポートフォリオのパフォーマンスが方が良いこともあります。

しかし長期で均してみた場合においては、個別株トレードの成績がインデックス投資の成績をアウトパフォームすることは容易ではありません。

ゆえに投資期間が長くなればなるほど個別株の調子が悪い時でもコアの部分が自分のポートフォリオのパフォーマンスを助けてくれることも多くなります。

経験談になりますが筆者も2020年の相場では個別株のみのポートフォリオで高いパフォーマンスを上げました。

コロナ禍によりFRBが空前の金融緩和を行ったことにより株式市場に強い追い風が吹いたのです。

そのおかげでZOOM(ズーム)やOKTA(オクタ)、CRWD(クラウドストライク)などの少数のグロース銘柄をホールドした当時のポートフォリオは年利で100%近いパフォーマンスを達成しました。

毎日資産が増えていく。

株式投資って最高。

そんな気分に酔っていたあの時は完全に調子に乗っていましたね。

投資で利益を出すなんて楽勝。

インデックス投資なんて要らない。

個別株のトレードだけで十分。

たまたま株式市場に追い風が吹いたのを自分の実力だと勘違いしていたのです。

初心者にありがちな天狗状態でした。

しかしその長く伸びた鼻は次の年にはボッキリと折られます。

2021年は人手不足からくる賃金上昇などのインフレ懸念や新型コロナ変異株の拡大などにより、投資の環境も目まぐるしく変化しました。

それにより筆者の個別株トレードのパフォーマンスは安定しませんでした。

2020年と同じやり方では勝てなくなくなっていたのです。

しかしそんな難しい環境下でもSP500はしっかりとした足取りで着実に高値を更新していきました。

結局終わってみると2021年は、インデックスのパフォーマンス(年利で+27%)に対して筆者の個別株のパフォーマンス(+5%程度)は大きく劣後してしまいました。

毎月自動で何も考えずに買っているインデックス投資に負けるなんて。

前年は個別株のトレードで大きく勝っていただけにそのショックも大きかったです。

まさに天国から地獄に落とされた気分です。

辛いですが身をもってインデックスをアウトパフォームすることの難しさを知りました。

と同時に努力の量と結果は必ずしも比例しないという大事な学びも得ました。

上記のことから一時的にハイパフォーマンスを発揮した他の手法に目移りしてポートフォリオの配分を極端に変化させることを筆者はおすすめしません。

具体的にはコア(守り)の部分の資産をゼロにして攻め一辺倒のハイリスクなポートフォリオにするなど。

特に投資経験が浅いうちは資産額の乱高下がメンタル面に大きく影響してしまう可能性が高いです。

具体例を挙げると、

  • 購入した株の値動きが気になって夜にしっかりと眠れなくなる。
  • スマホで常に株価の値動きを確認しないと落ち着かない。
  • 企業業績などのファンダメンタルズよりも株価の方が気になる。

上記のような場合はコア(守り)の比率を増やすことをおすすめします。

最後にコア・サテライト投資戦略をやる上では、

  • まずはインデックスへの投資などによりコアの部分をしっかりと作ることによってメンタル面を安定させる。
  • 次に個別株でもある程度のリスクが取れる状態にする。
  • その基本の形を軸にしっかりと腰を据えて日々の個別株のトレードなどに取り組む

上記の3つがポイントになると筆者は考えます。

まとめ

  • コア・サテライト投資の目的はポートフォリオのバランスを整えてパフォーマンスの安定化を図ることにある。
  • アルファ(α)とは市場の平均をアウトパフォームするような個人の技量に依存する投資スキルを意味する。
  • ベータ(β)は市場の平均的なパフォーマンスを意味する。
  • コアでは守りの投資を、サテライトでは攻めの投資を。
  • コアではVTIやVOOなどのETFやSP500に連動したインデックスファンドへの投資がおすすめ。
  • 老後の資産形成には積立NISAとイデコを利用しての投資もおすすめ。
  • コア・サテライト投資戦略のメリット①: ポートフォリオの資産増減がマイルドになる。
  • コア・サテライト投資戦略のメリット②:ベータ値(市場平均)から大きく乖離しなくなる。
  • コア・サテライト投資戦略のメリット③:個別株投資などへのリスク許容度が高まる。
  • コア・サテライト投資戦略のデメリット①:リスクが小さくなる分だけリターンも小さくなる。
  • コア・サテライト投資戦略のデメリット②:コアはGAFAM+Tなどの巨大テックに依存している部分もある。
  • コア・サテライト投資を成功させる上でのポイントはコアとサテライトの比率を極端に崩すことなく長期で継続すること。